原文: freeCodeCamp Turns 10 + Major Certification Updates
10 年前の今日、私はサンフランシスコのアパートのクローゼットで、freeCodeCamp の始まりとなる数百行のコードを書きました。

その時は知る由もありませんでしたが、あっという間に freeCodeCamp は、日々忙しい大人たちが共にプログラミングを学ぶ世界的なコミュニティへと成長しました。
これまでに「キャンパー」(コミュニティメンバーをそう呼んでいます) の多くがソフトウェアエンジニアとして職を得ました。また、freeCodeCamp のオープンソース・コードベースに貢献しているキャンパーも多数います。

この 10 年間で私たちが作り上げてきたものを挙げてみましょう。
- 数学、プログラミング、コンピュータサイエンスを教える、3,000 時間におよぶインタラクティブなコアカリキュラム
- 12,000 件を超えるプログラミングチュートリアル記事、および書籍レベルの長編記事数十件を、freecodecamp.org/news にて公開 (日本語版はこちら)
- 1,000 件を超える無料の長編動画コースを YouTube チャンネルにて公開し、チャンネル登録者数 1,000 万人に到達
- 世界で最も親切で協力的なプログラミングフォーラムと、同じく親切な Discord サーバー
私 1 人から始まったチームは、35 人の講師とエンジニアから成るスタッフチームへと成長しました。そしてこれは氷山の一角にすぎません。作業の大部分はオープンソースコミュニティの手によって行われています。日々、ボランティアのコントリビューターたちが自発的に、コードベースを改善したり、新しい教材を作成したり、フォーラムでお互いに助け合ったりしています。

そして、私たちはまだ歩み始めたばかりです。ですから freeCodeCamp のこれまでの 10 年間について感傷的な記事を書くのではなく、これからの 10 年間に向けた計画にフォーカスしたいと思います。
私たちの慈善団体としての使命は、数学・プログラミング・コンピュータサイエンスの学習を支援するための、無料の学習リソースを作成することです。やるべきことはまだまだあります。
この記事では、今後 10 年間の主要な取り組みや改善計画について紹介します。クリスマスシーズンにリリース予定の内容もあります。
包括的な認定資格への統合
最大の改善点として、現在のカリキュラムの大部分を包括的な Certified Full Stack Developer (CFSD) 認定資格に統合します。加えて、他にもいくつかの新しい認定資格プログラムをゼロから開発中です。
私たちは CompTIA や (ISC)² のような高く評価されている開発者認定資格を運営する非営利団体からインスピレーションを得て、より業界標準に近い認定資格を目指しています。
新しい認定資格では以下の点を強化します。
- さらに幅広い学習内容
- 最終試験
- 最終プロジェクト
- 3 年間の有効期限と更新プロセス
そして freeCodeCamp のすべての成果物と同じく、新しい認定資格も完全に無料です。
Certified Full Stack Developer 認定資格の準備用カリキュラムでは、以下のトピックをカバーします。
- セマンティック HTML
- アクセシビリティ
- CSS 基礎
- CSS フレックスボックス
- 開発者のためのデザイン
- タイポグラフィ
- コードエディター
- JavaScript 基礎
- 関数型プログラミング
- 高階関数とコールバック
- DOM 操作とイベント
- Web 標準
- React 基礎
- TypeScript 基礎
- テストの概念
- Bash スクリプト
- SQL とリレーショナルデータベース
- Git と GitHub
- セキュリティとプライバシー
- Node.js
- Express.js
- Python 基礎
- アルゴリズム的思考
- データ構造
- オブジェクト指向プログラミング
- 動的プログラミング
- ウェブ開発者向けセキュリティ
- ツールとデプロイメント
- API の利用
- AI エンジニアリング基礎
- 開発者としての就職活動
- 他
そして多数のリクエストに応えて、コアカリキュラムで理論についてももっと深く扱うようにします。
これまで、私たちの認定講座はプロジェクト構築に 100% 注力していました。しかし、多くのキャンパーから実践学習に偏りすぎているというフィードバックがあり、理論の解説を求める声が多く寄せられていました。
今後は動画講座やチュートリアル記事でコアカリキュラムを補完しなくても進められるよう、必要なすべての理論をカリキュラム中でカバーします。
そのために、freeCodeCamp の教育デザインチームの Beau Carnes や Ania Kubów などが担当する短い動画レクチャーを追加します。動画よりテキストを好むキャンパーのために、文字起こしも提供予定です。
また、理論を復習したり理解度を確認したりできるように、クイズ (小テスト) も多数追加します。これらの要素と組み込みの反復学習システムにより、主要な概念とコーディング手法をより効率的に学習できるでしょう。
そして新たなカリキュラムでは、真っ白なキャンバスからスタートするスタイルのコーディング・ラボを早い段階から取り入れ、学習の自由度を高めます。
以下が新しい Certified Full Stack Developer コースの全コンテンツです。簡単ではありません。
- 64 のワークショップ - HTML、SQL、Python など幅広いツールについて学ぶ、インタラクティブなステップ・バイ・ステップのコーディングコース
- 513 のレクチャー - コンピュータサイエンスの概念をカバーする短い動画と、理解度を確認するための選択式問題
- 83 のラボ - 空のエディタとテストスイートからスタートしてコードを書き、すべてのテストを通過させることを目指すプロジェクト
- 62 の復習ページ - 小テストや試験の準備をサポートする、各モジュールのトピックを復習できる包括的なリスト
- 66 のクイズと 6 つの中間試験 - フルスタック開発の概念やツールの理解力を確認する質問
- 1 つの最終プロジェクト - ポートフォリオ用に構築する大規模かつユニークなプロジェクト (freeCodeCamp コミュニティの講師が成果物を確認)
- 1 つの最終試験 - 90 問の総合的な、不正防止機能付きの資格試験 (freeCodeCamp の試験環境システムを利用)
すべての講座内容を修了すると、最終試験の受験資格を得られます。ここまで学んだことを評価する厳格な試験を実施するためのシステムとして、私たちは独自のオープンソース試験環境を開発しました。
試験に不合格となった場合は 24 時間ごとに再試験が可能で、試験問題は大規模な問題集からランダムに生成されます。
オンライン試験で謂れのない不正行為を疑われたという話を耳にしたことがあるかもしれませんが、私たちは学問的行動規範の厳格な執行にあたって慎重に配慮し、このような決定には常に人間が関与するようにしています。
「赤ちゃんが泣きだしたので席を立った」というだけで自動的に失格になるようなことはありません。試験の運営においてさまざまな点を考慮します。
試験に合格すると、履歴書や LinkedIn アカウントに追加可能な、無料の、検証機能・シリアルナンバー付き認定証を取得できます。この認定証は 3 年間有効で、その後は無料の継続教育プロセスを完了することで再認定が可能です。
以上のアップデート内容をこちらの動画で 3 分間にまとめて紹介しています。
他 3 種の認定資格を開発中
新しい Certified Full Stack Developer 資格をリリース次第、私たちの教育デザインチームは以下 3 種の認定資格の開発に注力します。
Certified Machine Learning Engineer 認定資格 (fCC-CMLE)
この認定資格では Python と数多くのライブラリを学び、数学と理論も幅広く学習します。大多数のプロジェクトでは、独自のモデルを作成することが要求されます。現在 Kylie Ying が機械学習エンジニアと共に講座設計に取り組んでおり、一部は 2025 年のリリースを予定しています。
Certified Software Systems Engineer 認定資格 (fCC-CSSE)
低レベルプログラミングと高性能コンピューティングを扱う認定資格です。C や C++ でのプログラミングを学び、独自のコンパイラや検索エンジンなどを構築する多数のプロジェクトに取り組みます。一部は 2026 年にリリース予定です。
Certified Data Scientist 認定資格 (fCC-CDS)
freeCodeCamp ではこの数年間、包括的なデータサイエンスカリキュラムの開発に取り組んでいます。ご存知のように、すでに freeCodeCamp コミュニティの YouTube チャンネルでは Python、R、統計ツールなどデータサイエンスに関連した無料講座が多数公開され、人気を博しています。
データサイエンスを教える際の課題は、この分野で必要となる膨大な量の数学をどのように教えるかです。その学習成果をプログラムで評価できるようなプロジェクト指向の学習を組み込む必要もあります。
私たちの目標は、博士課程以外でアクセス可能な最高のデータサイエンス教育を提供することです。これは最も大きな挑戦になりますが、何としても成し遂げたいと思います。一部は 2027 年にリリース予定です。
これらの認定資格と講座内容の詳細はいつごろ提供されますか?
現在カリキュラムのアウトラインを作成中で、いくつかは 2025 年に公開予定です。
現行の freeCodeCamp 認定講座はどうなりますか?
freeCodeCamp には旧認定講座の内容も引き続き公開するという伝統があります。今回も例外ではありません。
新しい Certified Full Stack Developer 認定資格のカリキュラムは今年のクリスマスを目処に公開を予定しており、公開後は新講座に移行することをお勧めします。プロジェクトの多くは現行の認定講座と共通となっているため、すでに一部のプロジェクトを完了した状態からスタートできる可能性もあります。
引き続き旧認定講座に取り組みたい場合は、そのまま続行することも可能です。
旧認定証も有効期限切れになるのでしょうか?
はい。旧認定証は 2027 年 12 月 31 日に有効期限切れとなります。過去に取得された freeCodeCamp 認定証も対象となります。
受講者の皆さんが新しい Certified Full Stack Developer 認定資格を取得するまで、現行の認定証を引き続き利用できる猶予期間を十分に設けたいと考え、3 年間が妥当と判断しました。
この有効期限は freeCodeCamp のすべての認定証に適用されます。
以降、Certified Full Stack Developer 認定資格や今後追加予定の 3 種の認定資格は取得日から 3 年間有効となります。
また、3 年後に資格を更新するための継続教育プロセスも開発中です。こちらも完全に無料で提供されます。
試験を必須にしたり、認定資格に有効期限を追加したりするのはなぜですか?
他の IT 業界の認定資格と整合性を持たせるためです。主要な認定資格の多くは、認定試験の合格を必要とし、3 年で期限切れとなる形式となっています。
私たちの目的は、freeCodeCamp の認定資格をより業界の慣習に従った形にすることで、雇用者にアピールしやすいものにすることです。
freeCodeCamp が求人や職業紹介の分野に参入する予定はありますか?
その計画はありません。当団体の使命はシンプルで、無料の学習リソースを提供することです。教育以外の分野の人材を多数雇うより、少数精鋭の教育チームを維持していくつもりです。
認定資格間で講座内容の重複はどのくらいありますか?
認定資格の中には、一部のプロジェクトやレクチャーが共通するものもあります。例えば、すでに Certified Full Stack Developer 認定資格で Python の入門コースを完了した場合、Certified Machine Learning Engineer 認定資格で再度完了する必要はありません。
旧認定証は引き続きオンラインで表示できますか?検証用リンクは引き続き有効ですか?
期限切れの認定証もプロフィールに表示され、URL も機能し続けます。ただし認定証には期限切れとなった日付が明記され、資格が更新されるまで変わりません。なお、このような有効期限の設定は、2027 年 12 月 31 日までは行われません。
現在 freecodecamp.org/learn の一覧にある 11 種の認定講座はどうなりますか?
少なくとも数年間は「旧認定講座 (レガシー認定講座)」として引き続き利用可能です。ほとんどの講座内容は新しい認定資格の一部として改良され、再利用されます。
すでに完了したプロジェクトを再度完了しなければなりませんか?
旧認定講座の講座内容の一部は新しい認定資格に引き継がれます。そしてほとんどの場合、すでに完了したプロジェクトを再度行う必要はありません。すでにいくつかプロジェクトを完了済みであれば、新しい認定資格の閲覧時に一部セクションが完了済みとして表示されるでしょう。
Rust や Java といったプログラミング言語や NoSQL データベースツールについての講座はありますか?
freeCodeCamp では、キャンパーが開発者として働く上で最も需要のあるツールにターゲットを絞っています。これには、Python、JavaScript、SQL、そして Git や Linux のようなツールが含まれます。
その他の人気ツールについては、YouTube チャンネルの動画講座や freeCodeCamp ニュースのチュートリアル記事を多数提供しています。これらの技術については引き続き、希望者向けのカリキュラム外講座として提供します。
英語カリキュラムの進捗状況は?
引き続き、キャンパーが英語力を磨くためのインタラクティブな英語カリキュラム作成に取り組んでいます。
動画とインタラクティブな演習を組み合わせた講座の最後に、正式な認定試験を設ける予定です。

現在 A2 レベル講座が完成間近となっており、B1 レベル講座の作業にも着手しています。

無料の大学学位プログラムの進捗状況は?
数学の準学士号とコンピュータサイエンスの学士号の提供に向け、着実に進んでいます。既に 2 つの数学コースを開発し、残り 38 の米国大学レベルコースと、関連するレクチャー、ラボ、試験の開発に全力を注いでいます。
freeCodeCamp の教育デザイナーチームは小規模で、現在は主に Certified Full Stack Developer 認定資格の講座内容と英語カリキュラムに集中しています。これらが完了次第、学位プログラムにさらにリソースを割り当て、開発を加速させる予定です。
10 年はほんの始まり

コミュニティとして、たった 10 年間でこれだけのことを成し遂げられたのは本当に素晴らしいと思っています。
- 3,000 時間のインタラクティブな学習リソースからなる無料カリキュラム
- 数千件の動画講座、電子書籍、チュートリアル記事
- 数万人のキャンパーが開発者として仕事を得たこと
- 数万人のコントリビューターがボランティアとして時間やスキルを提供し、OSS 活動や他のキャンパーとの助け合いを通して経験を積んでいること
あなたもぜひ、この世界的な freeCodeCamp コミュニティに加わりませんか?こちらの記事で 2024 年度のトップコントリビューター一覧をご覧いただけます。コントリビューター活動に興味があれば、コントリビューターガイドを参照してください。
また、サポーターになる方法もあります。すでに毎月支援してくださっている方で、当チャリティに年末の贈り物をとお考えであれば、ぜひともお願いいたします。こちらの記事でさまざまな支援方法を紹介しています。
当チャリティのミッションを支援する方法について質問がある場合や、税控除用の寄付受領証が必要な場合は、直接私までメールでお問い合わせください: quincy@freecodecamp.org
次の 10 年を祝して。
– Quincy